そもそも「自分に合った仕事」とは何なのか?

さて、前回の続きです 。今回は少しだけ「キャリアを築く」ということへの理解を深めていきましょう。

「自分に合った仕事」を探しているという方へ

結論を先に申し上げますと、自分に合った仕事なんてものは存在しません。 もちろん、適性は存在しますし、僕自身も応募者の適正から業務を想定しながら面接を進めます。 皆様にとっても、自分に適性のある仕事を想定するのは重要なことです。 基本的に「人よりも少しだけ上手くできること」は「適性がある業務」である可能性が高いでしょう。 しかし、「天職」という意味で仕事を悩んでいるのであれば、それは多くの場合、見つけることができません。

続けた仕事が「自分に合った仕事」になる

「自分に合った仕事」は後から認識するものです。話を分かりやすくするために、例を出しましょう。

あなたは新しい仕事に就き、張り切って仕事に臨みます。自分には目標を達成するだけの実力がある信じ、日々一生懸命に働きます。し かし、頑張ってはいるものの、一向に結果が付いてきません。上司からは報告のたびにお叱りを受け、あなたの中にストレスが溜まって いきます。それに伴って、ミスも増えていきます。そのうち、あなたは「この仕事は自分に向いてないな」と考えるようになり、気持ち も萎えてしまいました。

さて、本当にそうでしょうか?

上司のマネジメントへのダメ出しはさておき、フラットに俯瞰したときに、 最後の「向いていない」という判断が十分に正しいと考える人はいないはずです。 あなたが「向いていない」と判断したから、「仕事」は「向いていない仕事」と変化しました。 マネジメント能力の高い上司であったなら「自分に合った仕事」へと変化していたはずです。

重要なのは「強化」

自分に合った仕事は「強化」によってつくられます。「強化」に関してはwikiから引用しましょう。

正の強化(Positive reinforcement)は、好ましい事象・刺激が行動の結果として提示され、それによって、その行動が増加する場合に起 こる。正の強化子は、動物がそれを獲得するために働く刺激事象である。 言葉および物理的報酬は、非常に効果のある正の強化子である。 例:企業はインセンティブ・プログラムを実施し、従業員は販売された品目の数に応じて賞を獲得するとする。従業員が受け取った賞 は、これにより売上が増加した場合は正の強化子とみなされる。 

我々は体験によって「強化」され、成果を出せるようになり、心理的安全性も担保されていきます。 会社における強化子は「成功体験」「インセンティブ」「賞賛」でしょう。基本的に上司は心理的な強化子を与えてくれます。 「強化」が上手く回っていれば、あなたは更なる成長を求め、個人のPDCAも回っていきます。 結果として業績が伸び、あなたは「自分に合った仕事だった」と考えるようになり、その仕事があなたの「天職」となるのです。 なお、蛇足ではありますが、「負の強化」についても調べてみましょう。 この辺りを知っておけば、会社で叱られて辛いときにも、自分の状況を俯瞰することができるようになるかもしれません。

Why you will fail to have a great career? あなたに夢の仕事ができない理由

さて、やっと最初に戻ってきました。

自分の未来に対して慎重なアナタは、職種や会社の情報を詳細に調べたことでしょう。 「自分に合った仕事が見つからない」という悩みも解消されました。 あとは、飛び込むだけなのですが、ここで幾つもの「もし…でなければ…」がアナタの頭に浮かんできます。

「もし、給料がもう少し高ければ……」「もし、人間関係がうまくいかなかったら……」

「もし、仕事が合わなかったら……」「もし、もう少し早く知っていれば……」

これらの理由にとらわれて行動できないのであれば、「最初から本気ではない」というのが真実です。 もちろん、そのリスクヘッジは生物として至極ただしい反応です。 本能に引っ張られているという言い方もできるでしょう。 どれも尤もらしく感じられますが、その良し悪しは別として、本質的にはやらない理由を並べているだけです。

私は皆様に、他の要素に引っ張られることなく、適切な情報から選択してほしいと考えています。 そこでフラットに立ち返り、次の質問を自分に問いかけましょう。

  • ①私は自分のなにを守りたいの(何が不安なの)だろうか?
  • ②それは、夢の実現よりも大切なことだろうか?
  • ③夢への一歩を踏み出すことは、今の状況を継続すること(決断しないことによる損失)に比べて、本当に致命的なリスクを内包してい るだろうか?

皆様の本音はいかがでしたでしょうか。この問いかけの結果とこれから先の行動に対し、責任を持てるのはアナタだけです。「それでも自分は やりたいんだ!」という方は、ぜひぜひ面接に来てください。しっかりとキャリアについて話し合い、選択肢を一緒に考えましょう。

PS:時間がある方はTEDの動画も見てみましょう。きっと、あなたの人生にプラスとなるはずです。